先日、山あげ祭りに行って来ました。山あげ祭りは、那須烏山市の有名なお祭りの一つで、ユネスコ無形文化遺産に登録申請されています。
いつもは比較的空いている烏山への道のりも、その日は心なしか滞りがち。街中に入れば軒先に提灯やら、通りに大きな旗やら、お囃子の賑やかな音色やらと、雰囲気はすっかりお祭りムードでした。
昨年は那須南病院前で「蛇姫様」という演目を見ましたが、今年は山あげ会館前で19時からの演目を見ました。その演目は「将門」。恥ずかしながら何の下準備もせずに行ったので知らなかったのですが、とても人気のある演目だそうです。その理由はガマ。ガマガエルのガマです。将門の娘、滝夜叉姫が登場時に乗っているのがそのガマなのですが、山あげ祭りのマスコット的位置付けにあるらしいのです。
そんなこととは露知らず、会館前辺りで屋台を眺めていると、19時が近づくにつれてどんどん人が集まっていき、桟敷席を求める列が長くなる頃にはあっという間に身動きが難しくなっていました。
山あげ祭りは野外での舞台ですから、準備の風景もまた楽しめます。
人がひしめき合っているその真ん中で、若衆たちが威勢のいい掛け声と共にセッティングを始めました。
ほぼ全て手動です。大きな山車も、舞台装置も、背景の大きな山の張り子も、掛け声と共に完成されていきます。
夕暮れを通り越し、辺りが暗くなった時には完全にライトアップされ、いよいよ演目が始まります。
怪しい妖術を使うものを退治せよと源頼光の命を受けた光圀の前に、ガマに乗った美女が現れます。如月と名乗るその美女は色仕掛けで光圀を味方に引き込もうとしますが、それが将門の娘、滝夜叉姫だと察した光圀は、将門の最期を話して聞かせ、その正体を見破るというのが簡単なあらすじです。
大変残念なことに、私の身長の都合でガマを見るに至りませんでしたが、滝夜叉姫がとても美しくて、それだけでももう大満足です。
演者の方、お囃子、三味線、どれも地元の方がされているようでそれも驚きました。年により町単位で当番があるそうで、その準備も練習も並大抵のことではないかと思います。
汗を流し、歯を食い縛って動く若衆の方々や、所作の美しい演者、奏者の方々を見ているとその思い入れの深さが伺えます。
毎年、演目が始まるまでは暑くて大変なのですが、やっぱり来年もまた来ようと胸に誓って、帰途につきました。
**長嶋**